発達障害の基本的な考え方とケア方法

発達障害児は生後1年までの間に感覚統合などが自力でできない赤ちゃんです

発達障害のお子様の指先に触ろうとすると、お子様はいやいやするみたいに手を引っ込めて触らせないことがあります。

またお子様の顔を優しく撫でたり触ったりしようとすると、この時もお子様はいやいやするみたいに顔を背けてしまいます。

こういったお子様は、赤ちゃんの時には、ママやパパに抱っこされていると、寄りかかって来ずに、背中を反らせて逃げようとしてイヤイヤするような仕草をします。

この時の赤ちゃんは、とても緊張しているように感じます。

この現象の原因は、このお子様の感覚統合がうまくできておらず、皮膚の触覚などが発達していないことが原因です。

これらのお子様の手足や顔や体には『原始系触覚』が残ってしまっているのです。

この『原始系触覚』とは、イソギンチャクみたいな原始的な生き物に備わっている感覚です。

たとえばイソギンチャクの触手は、私たちが触ろうとすると、すばやく引っ込めて逃げますね。

これは天敵に襲われた時に、触手を食べられないように、すばやく逃げる『逃避』と呼ばれる行動です。

お子様の指先にママが触ると、手を引っ込めて触らせないようにするのは、このイソギンチャクが天敵に襲われてすばやく触手を引っ込める『逃避』と同じ行動なのです。

通常の『定型発達型』のお子様は、生まれてからママがおっぱいを飲ませてあげて、しっかり育ててあげれば、自力で感覚統合ができます。

それに対して発達障害になりやすい『非定型発達型』のお子様は、この『感覚統合』という感覚の発達が自力ではできない子供だったのです。

そして自力で感覚統合ができないことが、脳の発達を阻害して、発達障害を引き起こしていたことが分かってきたのです。

脳の発達には適切な感覚入力が不可欠です

みなさんは脳と体といったいどちらがご主人様だと思っていますか?

「脳の命令通りに体が動いているのだから、とうぜん脳がご主人様だろう」とだいたいの人は思います。

確かに私たちが自分の体を思い通りに動かしているのは、脳の運動野が手足の筋肉に命令を出しているからです。

でもその動作をしようと思った『判断』を下すのに、脳はどうやってそれを決めているのでしょうか?

じつは脳の判断に多くの影響を与えているのが、手足の筋肉や内臓のコンディション、あるいは腸内の栄養状態だったのです。

簡単な例で言えば、あなたの胃や腸の中が空っぽになってしまうと、あなたは「お腹が空いた」と感じて食事を作ろうとしたり、レストランに出かけていこうと考えます。

例えば日曜日の朝起きた時に、腰や肩などの筋肉がこわばっていて、全身が痛かったりしたら「今日は無理しないで休んでいよう」と考えます。

反対に寝起きに体調が万全で、体が浮くみたいに軽かったら「せっかくの休みだから普段は行けないところに遊びに行こう」と考えるかもしれません。

仕事が立て込んでいて、とても忙しい時にお腹が空いていたり、肩や首がものすごく凝っていたら、あなたはイライラして些細なことで怒り出すかもしれません。

このように私たちの脳は、私たちの身体からの感覚信号を分析して、それに対する答えを出すための装置だったのです。

ですから私たちの脳が正しく活動するためには、私たちの身体からの適切な感覚信号の入力が不可欠なのです。

脳の感覚信号がものすごく大切な例として『宇宙失読症』があげられます。

みなさんご存知のように、宇宙飛行士になる人はとても優秀です。

運動神経も良いですし、頭もいいです。

その宇宙飛行士が、長期間無重力状態で生活した後、地上に戻ってきた時に文字が読めなくなっていることがあるのです。

これを『宇宙失読症』と言います。

これは無重力状態で長い間に背骨の周りの筋肉(これを脊柱起立筋群と言いますが)これに重力刺激が入らなかったことで、脳の機能が衰えてしまったのが原因なのです。

つまり脳へ正しい感覚信号が入力されないと、脳は正しく働けなくなってしまうのです。

非定型発達型のお子様が発達障害になってしまうのも、これと同じで、生まれてから自力で『感覚統合』をすることができないために、脳に必要な感覚信号が入力されずに、脳が順調に成長せず、適切に脳が働かなくなってしまっているのです。

ですから非定型発達型のお子様の脳の発達障害を改善するには、お子様の脳に適切な感覚信号を入力できるようにしてやれば良いのです。

じつは発達障害の原因と改善方法は、けっこう簡単なことだったのです。

感覚統合不全と身体図式の未発達

一般的に定型発達型の赤ちゃんは、ママやパパがおっぱいをたっぷり与えて、抱っこしたりあやしたり愛情を込めて育ててやれば、赤ちゃんの脳は勝手に発達していきます。

定型発達型の赤ちゃんは自力で勝手に感覚統合を進め、それに伴って『身体図式』を生成することができるからです。

よく赤ちゃんは自分の手の指をしゃぶったり、足を顔の前まで持ち上げて、足の指をしゃぶったりします。

足の指をしゃぶるなんて衛生的にどうかと思って嫌がるママもけっこうおられます。

でも赤ちゃんが足の指をしゃぶるのをやめさせては行けません。

そんなことをしたら赤ちゃんは発達障害になってしまいます。

この手足の指をしゃぶる行為は、自分の手足の身体図式を育てる練習です。

赤ちゃんは自分の手足の指などをしゃぶることで、自分の手足がどうなっているのかを学習しているのです。

そうして『感覚統合』から『身体図式』を育てることで、赤ちゃんの脳には身体からの感覚信号が適切に入力されるようになり、脳が発達を始めます。

筋肉を鍛えるのに重りを使ってトレーニングするように、脳を鍛えて成長させるためには、たくさんの感覚信号を脳に入力する必要があるのです。

それに対して『非定型発達型』の赤ちゃんは、ほうっておいたら自力で『感覚統合』を進めることも『身体図式』を生成することも上手にできません。

そうなるとお子さんの脳に適切な感覚信号が入力されなくなり、脳の成長がうまくいかなくなって『発達障害』になってしまうのです。

ですから発達障害のケアは、この脳への適切な感覚信号の入力を改善してやることが一番のケア方法になるのです。

脳に適切な感覚信号さえ入力できれば、お子様の脳はすくすくと成長を始めます。

つまり発達障害のお子様は、これまでの育て方ではうまく成長できない、さらに育て方の難しくなった進化した赤ちゃんだったのです。

次回予告

次回は『感覚統合』と『身体図式』について詳しく解説していきます。

どうぞよろしくお願いします。

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