感覚統合不全とは？

脳の発達には適切な感覚入力が不可欠です

私たちの脳は、身体からのさまざまな感覚情報の入力に対して、きちんと計算して答えを出し、身体にそれに対応する行動をさせるための命令を出す機関です。

たとえばあなたの身体から「喉が渇いた」と感覚情報が脳に届けば、脳はあなたの好みなどを忖度した上で「冷蔵庫のペットボトルの水を飲もう」とか「お茶を淹れて飲もう」とか考え、その行動を起こすための命令を身体に伝達します。

ですから適切な感覚信号が脳に入力されないと、脳は正しく活動を続けることが難しくなってしまうのです。

その良い例が『宇宙失読症』と呼ばれる症状です。

みなさんもご存知のように宇宙飛行士になるには、かなり優秀でなければなれませんね。

ところがこの優秀なはずの宇宙飛行士さんはが、長期間に無重力状態の宇宙空間で活動したのちに地上に戻ると、その時には文字が読めなくなっていることがあるのだそうです。

これを『宇宙失読症』と呼びます。

つまり無重力状態の宇宙空間にいると、背骨の筋肉などに重力による刺激が入らないため、そのぶん脳に入力される感覚情報が少なくなってしまい、脳の機能が低下するのです。

脳に対する感覚入力がいかに大切か、このことでも良くわかります。

それと同じようにお子様が生まれた時から、お子様の脳に対して、適切な感覚入力がなされないことで、お子様の脳がうまく発達できなくなってしまうのです。

それが発達障害の主な原因となっているのです。

感覚統合不全が発達障害の第一の原因です

渡したちの感覚には五感と呼ばれる「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「皮膚感覚」に加え、６番目の感覚である「筋肉の運動感覚（固有受容感覚）」があります。

これらの感覚は、赤ちゃんが生まれた時には、未成熟でバラバラですが、その赤ちゃんが成長するに従って、感覚が統合されていきます。

そうすることで赤ちゃんは自分の身体がどういう構造になっているのか？

またどんな風に動くのかなどについて学習・理解していきます。

この感覚統合がしっかりしていくことで、脳は身体からのさまざまな感覚情報を、適切に受け取ることができるようになります。

つまりバラバラな感覚情報、たとえば皮膚の触覚や、筋肉の運動感覚、視覚情報などを統合して、いま自分がどんな行動をしているのか、どんな姿勢をしているのかなどの情報が、正しく脳に入力されるようになります。

そうすることでバラバラの感覚情報が、まとまった有益な感覚情報として脳に入力されるようになります。

そしてその感覚情報の刺激によって、お子様の脳が発達するようになるのです。

自力で感覚統合ができない非定型発達型の赤ちゃん

一般的な定型発達型の赤ちゃんは、生まれて半年から1年ぐらいの間に、自力で『感覚統合』をすることができます。

よく赤ちゃんは自分の手の指を舐めたり、足を顔の上まで持ち上げてきて、足の指を舐めたりしていますね。

ああいった行動が、赤ちゃんが感覚統合をするための学習行動なのです。

ですから赤ちゃんが自分の足の指を舐めていたとしても、それをやめさせてはいけませんね。

それに対して非定型発達型の赤ちゃんは、生まれてから自力での『感覚統合』ができません。

普通は生まれてきた赤ちゃんは、ママがしっかりおっぱいをあげて、きちんと世話をしていれば、自然と脳を発達させることができます。

でも非定型発達型の赤ちゃんは、放っておいたら、自力での『感覚統合』ができないのです。

つまり非定型発達型の赤ちゃんは、生まれてから専門家が脳の発達のサポートをしてあげないと、発達障害になってしまう、育て方のとても難しい赤ちゃんであると言えるのです。

お子様の『感覚統合不全』の改善が、発達障害ケアの第一歩になるのです。